ジャイプルはそんなにピンクじゃなかった。

ジャイプルはピンク・シティという別名を持っており街中の建物がピンク色に塗られている。とガイドブックには書かれていたけれどもそれ程ピンクでもなく、水色が半分、赤茶色が半分であった。
しかしでっかい門、でっかい城、でっかい砦とう巨大建物のオンパレードとごみごみしていないバザール、近代的なショッピングモールもあり過去の遺物を上手に取り入れた比較的生活水準の高い街だという印象を持った。
私はここで一人の男につかまる。自称画家の彼は自分の絵が売れないことを三年前の事故による顔の傷が醜いからだと考えているとっても自虐的な被害妄想男だった。どうだ、どうだとばかりに見せてくる彼のへったくそな絵の数々に絶句。
しかし彼がアンティークの偽者として売っているこれまたへったくそなミニアチュールの紙の裏になんと古いウルドゥーの手書きの手紙(?)らしきものが!ラジャスターンの王様の判子入りである。古書や古い書類の裏にわざとくすんだ色で絵を描いて売っている模様。ほんまにベーカール。
急に自分の絵(の裏側)に興味を持ち始めた私に勘違いする彼。(うまいこといって、裏側のコピーをとってきました)
翌日朝日が美しいらしい丘に連れて行ってくれるというから彼のバイクの後ろにまたがったのが運のつき、200ルピーのガソリン代を請求したあげく自分の両親、自分の祖母、自分の親友、自分の親友の両親、自分のヨガの先生等に私を紹介しまわり丘についたものの曇ってて朝日は見れず。
私に朝日を見せるために自分は3時間しか寝ていないということを何度も押し付けがましく私に言ってくるので「うち一人で観光するから家帰って寝れば。」と言えば「そんなこと言わないでくれフレンド」と奴隷のように謙る。フレンドフレンド、と肩をくんでくるからぶちぎれ、「そういうことほんまうっとおしいからやめて」といって日本の習俗と西洋の習俗の違いについて滔々と説教。「ついでにあんたの絵もはっきりいってへたくそやから、もっと勉強すれば」と言えば「お金がない」の一点張り。そのくせヘヴィ・スモーカーで時にはチャラスも吸っている。
その後彼の友人に「彼は顔の傷のせいで商売もできないし結婚もできない。彼ほど朝から晩までよく働くやつはいない。彼の手術代のために、2000ルピーぐらいでいいからちょっと助けてくれへんか」と頼まれる。
2000ルピーてあんた、私の一週間分の生活費である。あほかほんまに。
おしつけがましい親切とおしつけがましい友情ほどやっかいなものはない、と身につまされたジャイプルでの日々でした。