ラクナウって、カタックの街じゃなかったの??

ラクナウにやってきた。魚がトレードマークの、なかなか大きな街。
ここに来たのは、パキスタンのカタックが「ラクナウ派」の流れをくんでおり、何か情報が得られるのではないか、と考えたため。日本で私が持っていたイメージは、「みやびな古都」「美しいウルドゥー語を話す人たち」「街をあげてカタック色」といったものだった。
到着して街の人々に「カタックの有名な教室にいってみたいねんけど」とたずねたところ、答えは「カタックの教室?そんなんあるん?」というものだった。誰に聞いてもそんな答え。唯一「もしかしたら、あるかも」と教えられて行ったところにあったのは、近代的なデパートだった。雨が降ってきたので映画を観ることにする。
シャールクの最新作にうっとり。バリスタというスタバ的な場所でゆっくり小説を読んだり日記を書いたりして、すっかり日本的生活をする私。ブラック・コーヒーを飲んでいるのは私だけで、皆フラペチーノ的な巨大なものを頼んでいた。
結局3日間、午前中はカタックの教室を探し、昼にあきらめて映画館に行く、という生活をしてすごした。映画が終わる夜、湿った空気の中サイクルリキシャに乗ってホテルに帰る時間が一番素敵だった。夜の闇はいらないものをすべて隠して、「古都」はとても美しく、空を見上げるとぼんやりと月が光る。
後ろからバイクに乗った若い男達がやってきて、「ねえちゃん、俺とセックスせえへんかー」と言ってきた。言葉がわかるって面倒だ、といういろんな人の言葉を「贅沢な悩みだ」と思っていたけれど、今回ばかりは私もすっかりしょんぼりしてしまった。