シュエーブとインタビューに行く。

megh2006-03-01

朝早起きして散歩。集団で旅行すると、何が楽しいのか朝6時ごろみんなより早くおきだして周辺を散歩、みんなが起きる9時ごろに一仕事終えて帰ってきて、「いやあー気持ちよかった。みんなもったいないなあ」などとこれ見よがしにつぶやくタイプ、それが私。まるでおっさんである。
 今日は歩いて10分ぐらいのところにある果物屋で、朝ごはん。メニューにない「ストロベリー・バナナ・シェイク」を作ってもらう。ふむ。イチゴの味がぜんぜんしないけれどもまあいいや。
 帰ってきて山中君のタコ糸の取材についていく。旧市街に向かう。ここは本当にいりくんでいるなあ。発酵したようなにおい、どぶに浮かぶごみ、100年前の建物、ねこ、こども、いぬ。
 業務外のタコ糸取材を何故か山中君と並ぶ情熱でこなし、ダーリンに食べやすいものを食べてもらうべく私は一足先に帰る。近くにあるレストランで、ダーリンはチキンコーンスープとたまごピラフ、私は愛しのチキン・マンチュリアンをオーダー。
 チキン・マンチュリアンというのはダヒーバーレーに並ぶ私がこよなく愛するパキスタン料理の中のひとつで、エッグ・フライド・ライスの上にケチャップ味チリ風味のチキンのソースがかかったもの。パキスタン人はきっと中華料理のつもりで作っているのだと思うけれど、これはまぎれもなくパキスタン料理である。
 それとカフワというグリーン・ティーの一種を頼み、のんびり一時間ほど昼食。その後今日こそダンサーに取材をするべくシュエーブと待ち合わせて出発!!
 初めはファシウルレヘマーン、次はナヒートシディキとつつがなく会話終了、そこでシュエーブの秘密を知る。
 シュエーブは私が留学していたとき一緒にダンスを習っており、今も続けて習っている。もう二年以上になり、教室で一番の古株になっている。先生の紹介で、最近生徒をとってもいるらしい。ところがシュエーブ、自分がダンスをしていることを家には秘密にしているというのだ。彼の顔にはたくさんの傷跡があるが、それは厳しいお父さんの折檻のせいらしく、ダンスをならっていることを知られたら二度と家から出られないらしい。
 どうしてそんな風になったかというと、イスラムでは踊りを踊ることはよく思われていないからで、ラホールのような伝統的な町では特にその考えが強固なのだ。カラチやイスラマバード、またはラホールでも富裕層は、ある意味西洋ナイズされておりそんなことを気にせず、習い事としてダンスを楽しんでいる。
 シュエーブはこんなにダンスが好きなのに。私はなんだか悲しくなる。彼には好きな女の子がいるけれども、彼女との交際も家に秘密にしている。私が居てもずっと彼女と電話しているシュエーブを見ていると、彼が彼女と一緒に日本に来てダンス教室を開けたらいいのになあと無責任なことを考えてしまう。
 その土地特有の考え方を否定する気は毛頭ない、けれども、何かをすることの自由が守られている場所に私は生まれ育ったのだということを、リアルに感じた一日だった。