海はひろいな大きいな。

megh2006-02-19

いつものようにアキール先生の奥さんと朝ごはんを作る。パラタと卵と昨日の残りのおかず。大根のサランがとても美味しくて、作り方を習う。ここの家は間食はしないしチャイに砂糖は入れないしパラタを脂でぎとぎとにしないしかなりヘルシー。大根の葉っぱって健康にいいんですよね、と言ったらそうなのよ、と奥さん。
 9時に荷物を持ってバスで安宅さんの家に向かう。安宅さんの家は海の近くのディフェンスという高級住宅街にあり、花咲き乱れる美しいところ。今日は安宅さんの紹介で、二人の要人に会う。
 1人はバジヤさんというおばあちゃん。今は引退されたドラマ作家で、小さくてとても元気な方だ。パキスタンの芸能関係の生き字引だということで、千尋ちゃんの計らいで会うことができた。
 2時間ほどお話をして次は安宅さんに美味しいチャートの店につれていっていただく。そこで私のいとしのダヒーバーレーに再会。ラホール滞在中、何度食べたかしれない私の心の友である。メニューに「ダヒーバーレースペシャル」を発見。いただく。上品なお味である。ダヒーバーレーとは芋、トマト、チャナ、パコラみたいなもの、たまねぎ、ミーティーチャットニーとマサラ、ヨーグルトが混ざったもので、ここにトマト、ハリーミルチなどが加えられていることもある。
 その後海の見える一等地にお住まいの真理子さんの所に向かう。真理子さんはパキスタンのカタックを世に広めようとしている唯一の人だといってもいいのではないだろうか、彼女に私の聞きたかったパキスタンのカタックについての概要をかなり完璧に教えていただくことができた。
 現在「パキスタンが世界に誇れるカタック舞踊者」として名前を挙げられるのは残念ながら2人しかいないと真理子さん。しかし、インドにおいてさえ100人の舞踊者のうち本物はほんの2、3人しかいないといわれているのだから、このカタック人口の少ないパキスタンにおいて2人という数字は奇跡的なのだそうだ。2人はラホールに住んでおり、真理子さんに連絡先を教えていただいた。
 その2人に会う前に、真理子さんにお会いできたことは幸運だった。日本語でカタックについての基礎知識を得ることができたのは本当に大きかったと思う。アキール先生との出会い、安宅さんとの出会い、カラチ大の留学生のみんなとの出会い、すべてにおいてみても、やはりカラチをスタート地点に選んだことは間違っていなかった。
タクシーを拾えるところまで送ってもらうついでに海まで連れて行っていただく。アラビア海である。黒くて細かい砂が足にねばりつく海岸には駱駝や馬が居て観光客を乗せようと虎視眈々と狙っている。小さな女の子が花を売りに来た。いらね、と一掃、しかしかわいい女の子だった。
 そのままタクシーで空港へ。運転手のお兄ちゃんと昨今のデモやストについて話をする。17日の全面ストライキはカラチ政府から出されたものだったけれどお兄ちゃんも休んでたん?いや、僕は働いてましたよ。仕事せな食べていかれへんもん。と。ふむ。
 今回のデモはムハンマドの風刺画に対する抗議という形で始まったのだけれどなぜ自分の国の国民を殺すのやらパキスタン。ケンタッキーを焼いたところでそこで働くパキスタン人が職を失うだけであってかえって自分の国の経済を崩壊させているだけじゃないか、何でそのことがわからないんだろう。
  帰りの飛行機はAERO ASIA。なかなかクールな機内の様子だった。小型機なのに無駄にスチュワーデスが多く配られたマンゴーマサラキャンデーは死ぬほど不味い。途中で配られた軽食は芋パイ、クッキー、ケーキ、サンドイッチ、紅茶と書くと見栄えはいいけれども中身は上の写真でこれもまた行きの飛行機で感じたと別の意味での「もののあはれ」を感じさせるに十分であった。
 食べ終わった食器、食物を一緒くたにゴミ箱に投げ入れながらしゃなりしゃなりと通路を歩いていくスチュワーデスの中に明らかにパキスタン人ではない金髪の白人のお姉ちゃんがいた。彼女はいったいこんなところで何をしているのだろうか、どうなのか。
 無事時間通りにイスラマバードに到着、なんだか急に明石焼きが食べたくなる。石切の明石焼きが。