表紙が呼んでいたの。

駱駝はまだ眠っているという本を読んだ。友人が貸してくれたのだ。かもがわ出版なんて聞いたこともない。どうしてこの本を買ったのか、という質問に、「表紙が呼んでたんだよ」と答える彼女は私以上に自分の直感に正直に生きる素敵ガール。
1970年代初期の京都、駱駝館という喫茶店を舞台にした物語。1970年代初期、そう、「あの時代」である。私は、「あの時代」が大好きだけど、大嫌い。「あの時代」のにおいは、たとえば旅先のゲストハウスのみんなが集まるベランダなんかで今でもかぐことができる。それにどっぷりつかることを、私は毛嫌いし、しかし好感ももつのだな。なんだろな。なんだかいたいたしく見えたり、いとおしく思えたりするのである。
そういう、小説でした。