シャクンタラー姫

今日は前々から欲しかった本、岩波文庫シャクンタラー姫 (岩波文庫 赤 64-1)を購入。実は南アジアの古典文学の講義の、前期レポートの題材に使用した話でありまして、本来ならその時買うべきだったのだけれど、そのときはレポートに関係ない「あしながおじさん」の100年前の翻訳「蚊とんぼスミス」を発見し、狂喜乱舞しておりそれどころではなかったのでした。(この本についてはまた後ほど書きます)
この物語はゲーテファウストにも影響を与えているといわれている戯曲の大御所で、シャクンタラーという天女と人間のハーフの美女に王様が一目ぼれ、恋に落ちた二人は結婚しようとするのだけれど、悪い仙人が王様の記憶を奪い、二人が離れ離れになってしまう、という筋書き。これはどこぞのディズニー映画などでありそうな話ですね。
王様がシャクンタラーに手渡していた指輪のおかげで(ほかにもいろいろあるのだけど)二人は再開、めでたしめでたし、という結末。
私が一番好きなシーンは、冒頭の二人の出会いのシーン。鹿を追って森に迷いこんだ王様が、二人の侍女と一緒にいるシャクンタラーを見つける。
 ひなの庵に 人こそ知らぬ 住む乙女らの このやさ姿 宮居の奥に 色香を競う うまし女たちに とめがたからば 園のつる草 品劣らまし よもぎがそまに つるだつ草に。(同上、p20)
なぜだか、「もののけ姫」の森を想像してしまうのです。しん、と神々しい空気を。