一日、本の日。

今日はたまっていた本を文字通り一日中読んだ。読みかけを読破したのが二冊、新たに全部読んだのが三冊、読み始めて途中までいったのが二冊。インドアといえばインドア、贅沢といえば贅沢な一日の使い方だな。
その中でも一番印象的だったのが、これです。

イルカ

イルカ

最初、「チルカ」という題名だと思っていた。
表紙に惹かれて、思わず買ってしまった。そういうことを言われたら、きっと表紙を作った人はうれしいだろうな。私ならうれしいと思う。
ある小説家の女性に偶然子供ができてから、その女性が子供を産むまでの物語。
はっきりいって、最初の方はあまり「ぴんと」こなかった。
吉本ばななの描く世界には、人のある種、ある時期には信じられないくらいぴったりとリンクすると思うし、(その「ある種」というのは、物語によって微妙に異なる)この物語もきっとそうだろうと思う。私の人生においての過去のいずれかの一瞬に読んだのならあるいは、最初から「入って」いけたのかもしれないけれど、今の私の脳みそは結構色ぼけているので、ちょっと路線が違う。その点で、あまりぴんとこなかった。
しかしながら私がこの小説に強く惹かれたのは、ひとつの真実をとてもリアルに教えてくれたからです。それは私にとってとても残酷な答えだった。村上春樹っぽい表現でいうと、
「ある種の物事を理解し受け入れるには、相当長い時間と人生経験が必要なのだ」
ということです。
書いてみれば当たり前のような、気もするけれど。
今はたとえば受け入れがたくて、受け入れようと努力するのにとてもとても苦しいことでも、いつかはなんでもないことだと思える日がくる。
確かに自分の力でなんとかできるならそうするべきだと思う。
けれど、待つことのみが解決方法であることも、あるのかもしれないな。
と思ったのです。
いやはや、それでも私は、もがくけどね。