チラシを配るという職業。

四十日と四十夜のメルヘン

四十日と四十夜のメルヘン

この本は朝日新聞の書評で高橋源一郎が賞賛していたので読んだ。
簡単に言ってしまえば、チラシ配り(ポスティング)の仕事をしながら、日曜日になるとフランス語講座に行ったり物語を書いたりする女のこの話。
読んだ後に、「おっしゃ、自分もやったるで!」って思う小説と、「ああどうしよう。私どうしよう。」って思う小説との二種類があると思うんだけれどもこれは後者。
自分には人とは違う何かができると信じたいけど実際何もできない自分、20代も後半にさしかかって。一応アルバイトとしてチラシを配っており日々を何の希望もなくすごしこれからの死ぬまでの人生について考える気力もなくただ時間だけが過ぎていく。一生懸命工夫してみてもやはりチラシ配りにやりがいを見出すことができずかといってほかにやりたいことがあるわけでもなく結婚する相手がいるわけでもなく友達がいるわけでもなく。
っていう(小説の内容とはやや関係ありません)未来の自分を思わず想像してしまってテンションがた落ち。
そういえば小学校のころ、一時期母親がポスティングのバイトをしていたことがあり、1,2回それを手伝ったことがある。細い路地の多い住宅街で、一度母親を見失い、本当に、本当に本当に心細い思いをした。お駄賃として買ってもらった当時欲しかったおもちゃ(漫画を簡単に複写するためのキットみたいなもの)も、すごく欲しかったものだったはずなのにまったくうれしくなかった。